うさぎの肥満について
よく診察時に触診やレントゲン撮影などで偶発的に肥満が認められる子がいます。
うさぎはヒトや犬、猫と異なり皮下脂肪がつきづらく、多くは内臓脂肪となるため、犬猫では「くびれがなくなってきた」というように肥満かどうか分かりやすいですが、うさぎの場合は一見太ってなさそうでも診察時に過剰な脂肪が見られることも多いです。
そのため、見た目で太っていると言われてしまった場合は相当脂肪がついている可能性が高くなります。
肥満かどうかを確認するには触診で分かる場合もありますが、レントゲンを撮れば容易に把握することができます。
《レントゲンでの比較》


正常な体型の子であれば上のように腸がお腹全体を占めているのが見て取れます。(青囲み)


肥満の子の場合は腸の領域(青囲み)が減少し、脂肪の領域(赤囲み)が増加し、さらに脂肪がつくことでコントラストの関係で正常では確認できない腎臓(黄囲み)が見られます。
うさぎは本来お腹全体が腸で占められていなければなりませんが、腸の領域が脂肪により少なくなると、腸の動きが低下するうっ滞になりやすく、治療への反応も鈍くなります。
《肥満の原因》
肥満の1番の原因はドライフルーツやグラノーラ、クッキー、えん麦などの炭水化物となっています。
うさぎは牧草やペレットの繊維を盲腸で発酵し、それをエネルギーにして生活している動物なのでヒトや犬猫と違い、炭水化物は基本的には不要です。
しかし、ペットショップ等で様々なおやつ類が販売されており、実際にあげると食べる姿が可愛く、ついつい多く与えてしまい、結果として肥満につながります。
さらに一度太ってしまうと食事改善や運動をさせたとしても中々脂肪が減らず、ほとんど変わらない子も多くいるので、やはり「太らせない」ことが一番となります。
《嗜好性も変わる?!》
おやつを与えすぎると太ってしまうだけでなく嗜好性が変わってしまう子もいます。
上記のおやつ類より美味しい牧草やペレットはないので、おやつに慣れてしまうとより美味しい方に嗜好性が傾いてしまい、気づいた頃には「以前より牧草を食べない」や「ペレットをがっつかなくなった」といったことになってしまいます。
太ってしまったり、嗜好性が変わってしまうと元に戻すのは困難で、結果的に摂取する繊維量が減少し、便が小さく少なくなり、体質的に弱い子になってしまう可能性もあります。
おやつ類をあげたいお気持ちはとても分かりますが、我が子の健康を第一に考えると、控えめでたま〜に幸せを感じる程度に与えた方がいいでしょう。
ただ、この「たま〜に」だったのが気づかないうちに頻度が多くなることもあるのでお気をつけください。
普段は粗食を心がけ、ご褒美やコミュニケーションで何か与えたい場合はペレットや野菜(大葉、にんじんの葉、チンゲンサイ、ブロッコリー、ケール)をお勧めします。
(個人的には炭水化物のおやつは嗜好性、肥満の観点から怖くてあげられないのが本音です。)